ピアノ講師やってますというと、どんな曲でもサラサラ~っと弾きこなせると思われがちで困ることありませんか?
「ねぇねぇあの曲弾いてほしい!」とか流行りの曲をリクエストされたり。
頑張って音大に行ったのに、耳コピできないピアノの先生であることがコンプレックスでした😭
クラシックピアノは基本「完コピ」の世界です。
楽譜通りに数か月かけて難しい大曲を弾きこなすことは出来ても、流行りの曲を耳コピして自分なりに弾きこなすなどという事は出来ない人の方が多いです。
耳コピでだけでなくキーを変えて弾く (移調して弾く) なんてことも苦手な人が多い印象です。
メロディーだけなら耳コピも移調もできますが、伴奏までとなると急激に難易度が上がります。
そのようなことが出来る人は特別な人間で、そういう人の脳みそがどうなっているのか見てみたいと思っていました。
が、耳コピは才能ではなく技術でした。誰でもできます。
ある曲を弾いていて、なんか雰囲気違うなーと思ったら、キーが違っていた (移調して弾いていた) ということがあって、自分でもびっくりしたくらいです。
適切な手順を踏むことで私にもできましたので、今日はその方法について書いてみたいと思います。
耳コピの手順
1.ベース音を聞き取り、五線紙に書き取る
- ベース音を聞き取る際のコツ:
- 曲を通して聞くのではなく、1つのコードに絞り、その部分を繰り返し聞く。
- ベース音は低音域に位置するため、イヤホンやスピーカーの低音が聞き取りやすい設定を利用する。
- 「ルート音を探す」という意識ではなく、「一番低い音が何か」を純粋に探す。
- 曲を通して聞くのではなく、1つのコードに絞り、その部分を繰り返し聞く。
- 具体的な書き方
- 五線譜に小節線を引き、曲のタイミングに合わせてベース音を記録。
- 書き取った音が自然に流れるか、音源と照らし合わせながら確認。
- 五線譜に小節線を引き、曲のタイミングに合わせてベース音を記録。
- ベース音が聞き取れない場合
- 音源を再生速度50~70%に落とす(最近のアプリやデバイスで調整可能)。
- テンポを遅くすると音がはっきり聞こえる。
※慣れない間はベース音が全然聞こえてこないのですが、繰り返しているうちに聞こえてくるようになります。ベース音の聞き取りがめちゃくちゃ重要なので、集中して聞いてみてください。
2.左手でベース音、右手でメロディーを弾いて確認する
- 手順:
- 聞き取ったベース音を原曲に合わせて左手で弾く。※コード (和音) ではなく、ベース音のみを弾く。
- 曲のメロディーラインを右手で弾く(楽譜や耳コピで得たメロディーを利用)。
- 左手(ベース音のみ)と右手(メロディー※単音でOK )を組み合わせて弾き、ベース音とメロディーが調和しているか確認する。
- 聞き取ったベース音を原曲に合わせて左手で弾く。※コード (和音) ではなく、ベース音のみを弾く。
- 確認ポイント:
- ベース音とメロディーに不協和音がないか耳で判断する。
- 違和感を感じた場合はベース音やメロディーの音が誤っている可能性があるため、再度聞き直して修正する。
- ベース音とメロディーに不協和音がないか耳で判断する。
3.ベース音からコードを推察する
- メジャーコードかマイナーコードか (長三和音か短三和音か)
- 転回形に注意する
- 例えば、次のようなケース:
- C/E:コードはCコードでベース音は「ミ(E)」(第3音を基音とする転回形)。
- G/B:コードはGコードでベース音は「シ(B)」(第3音を基音とする転回形)。
- 例えば、次のようなケース:
- ベース音を含む可能性のあるコードを洗い出す。
- 例:ベース音が「ソ(G)」の場合、
- G(ルート音)
- Gm(ルート音)
- Em7/G(転回形、第3音)
- C/G(転回形、第5音)
- などが候補になります。
- ※セブンス (7音) やテンション音 (9音、13音など) がベース音になっていることもあります。
- 例:ベース音が「ソ(G)」の場合、
- ベース音を書いた五線紙に、コードネームを書き足す ( 曲のタイミングに合わせて )
- 和声進行や耳で確かめる:
- 和声の流れから「自然な響き」を感じるコードを選ぶ。
- 例えば、「ソ(G)」の後に「ド(C)」が来る場合、C/GよりもGの方が自然な進行である可能性が高い。
- 和声理論の活用:
- 三和音や四和音のルールを参考にすると、推察が楽になる。
- ダイアトニックコード表を見ながら進行を考えると効率的。
※聞き取ったベース音がルート音 (根音) とは限らない。
音楽の流れを自然にするため転回形になっていることも多いです。
4.コードを洗練させる
- ベース音とメロディーの整合性が取れたら、推察したコードをさらに詳細に確認する。
- 例:セブンスコードやテンションコードを加えることで、より正確な再現を目指す。
まとめ
上記の手順を踏めば、耳コピは出来るようになります。
最初のうちから3と4の手順をやると頭の整理が追い付かないかもしれませんので、まずは1と2の手順を繰り返してみてください。
わたしは2まで出来るようになった時、とても感動したのを覚えています。
ベース音とメロディーでの演奏が出来るようになれば、後は残りの音符を肉付けしていくだけです。
耳コピしたり、コード譜だけで演奏できる楽しさを、ぜひ味わってほしいです。
耳コピできないことでコンプレックスを感じているピアノの先生はぜひ実践してみてください。
音楽の楽しみがぐっと広がると思います🥰
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